W杯予選突破が示すこと

W杯予選突破は何を示しているでしょうか。
もちろん一義的には本大会に出場することができるということを示しているわけですが、それだけじゃない。その背後には、目的地へ向かう駅に着いた安堵と高揚感があるような気がします。
目的地というのは、岡田監督が言うような「W杯ベスト4」や「世界を驚かせる」ことですし、それはすなわち日本サッカーの進化(の証明)であるはずです。
選手たちのインタビューを読んでも、喜びを味わいながら、早くも次に視線を向けているようです。

楢崎正剛選手「世界を驚かせるっていう目標が僕らにはあるんで、その挑戦権を得たという意味で、これからだと思います」
本田圭佑選手「ここからの1年間は、目標が劇的に変わるようにしたい」
中村俊輔選手「今までやってきたことを出す、やってきたことの質を高めること」

 

今の日本代表のサッカーは、素人目にですが、すごくロジカルな秩序の上に成り立っているような気がします。クラブシーンの傾向を含めてオフト以降の傾向として、(ジーコ時代の代表は違いましたが)日本のサッカーはディシプリンを大切にしてきました。それは秩序を大切にする日本人の国民性にもマッチしていますし、今回で4大会連続でw杯出場と結果も残してきました。
でも、規律や秩序だけではもう一歩先まで行けない。開催国シードに頼っての決勝トーナメント進出が限界であることを知ったのも、92年以降の日本の実情です。ならば「世界を驚かす」ために何が必要なのか。それは秩序に依拠した上で、あえてその秩序を破壊する覚悟と技量です(きっとジーコもここを目指していたはず)。
パスではたくべきシーンでシュートを狙う、両SBがそろって前線に上がってしまう、あえて敵DFの間にドリブルで飛び込んでみる、プレスをさぼる。いろんな破壊があると思いますが、効果的なシーンで、いかなる破壊を行えるようになること。それが、今回、乗り込む「残り一年の列車」が向かう終着駅に広がる景色でしょう。

私たちのビジネスや生活も、秩序を守ることによる安心感と閉塞感に満ちています。秩序を破壊することは、すごく勇気がいるしドキドキするし不安が襲ってくるけれど、破壊しなければ前に進めないこともあります。
南アフリカの地で、代表選手たちが、勇気を与えてくれるプレーをし、結果を導きだしてくれるよう、残り一年もしっかり応援していきたいものです。