2009年

6月

12日

おとしめることなかれ

先日、発売された「サッカー批評」では、Jリーグの各クラブのマネジメントに焦点をあてて、Jリーグの行く末を考える特集を組んでいます。それぞれのクラブの置かれた環境や特性ごとに、いろいろな考え・アプローチがあるようで、非常に興味深く読むことができました。

でも、そんな中にどうしても気分よく読めない記事がありました。木村元彦さんがお書きになった「名古屋グランパス改革の全貌『万年中位』から『常勝』へのベクトル」です。

記事は木村氏による名古屋グランパスGM久米一正氏へのインタビューなのですが、久米GMの活動の衣を借りて、かつて(久米GM以前)のグランパスのマネジメントをおとしめたい。そんな執筆者の思惑が、そこかしこにうかがえて、読んでいて非常に不愉快になります。極端に言ってしまえば、かつてのグランパスのフロントを悪くいうために、久米GMの言説を利用している感さえあります。

 

ベストセラーをお持ちの木村氏と著作も持たない末端のビジネスライターである僕とでは、立場が全然違うのかもしれません。しかし、自らの主張、しかも企画の本筋とはかけ離れたところにあるもの、をアピールしたいがためにインタビュー記事を構成するというのは、まったく理解しがたいものがあります。

 

インタビュイーの活動を評価するために、対照のための存在を用意して語らなければならないことはあるでしょう。僕もよく、そうした記事を書きます。でも、その際に気をつけなければならないのは、決して、いたずらに比較対象をおとしめることで、取材相手を評価することがあってはならないということ。それはあまりにもアンフェアな、ペンの暴力です。ジャーナリズムとヒステリックな悪口を履き違えているような印象さえ、持ってしまいます。

 

木村氏の記事には、以前から自分のオピニオンを強調するために、誰かをおとしめて記述する傾向がありました。今回も「おなじみの」といえば、おなじみの手法です。

「サッカー批評」の企画全体が非常に興味深いものであっただけに、木村氏の記事が(しかも自分のひいきクラブを取材したものであっただけに)、非常に残念でした。