広告媒体としての大学駅伝

先日の出雲駅伝、スタート直後の第1区では第一工業大学のジュグナ選手が区間新記録の快走で区間賞を獲得しました。

彼が走った22分30秒のあいだ、テレビでは第一工業大学の名前が連呼され、Googleの急上昇ワードにもしっかりと「第一工業大学」がランクイン。

 

選手達の「勝ちたい、速く走りたい」という想いとは別に、大学の「知名度を上げたい」という想いはある程度、叶えられたのではないでしょうか。

一般の広告はいくらぐらい?

そこで気になったのが、
「大学が知名度を上げるには、どの程度のお金が必要なのさ」
ということ。
感覚的には、第一工業大学は「上手いことやってるな」という印象があるのですが(こうしてブログにも取り上げられてるし・・・)。

一般的に知名度を上げたいと思った某さんが真っ先に利用しようと考えるツールは広告でしょう。

新聞広告、テレビ・ラジオ広告、ネットに雑誌。これらはおよそどのぐらいお金がかかるのでしょうか。

ネットでもろもろ検索したところによると


全国紙全面広告:2,000万円〜4,000万円
新聞3段広告:150万円前後
テレビCM(ゴールデンタイム15秒):2〜300万円
人気雑誌広告(カラー1P):100万円前後
インターネット:まちまち?

う〜ん、分かったような分からないような。
ただテレビにしても新聞にしても雑誌にしても、かなりの量を継続的に発信し続けなければ、市民の印象には残らないでしょう。

僕自身、広告で印象に残っている大学というのは残念ながら一つもありません。
インパクトを残す広告を打ち出すためには、1億、2億では厳しいかもしれません。

駅伝部はいくらぐらい?

そこで、話を駅伝に戻して考えてみます。
地方のX大学が駅伝で名を上げようとしていると仮定して、1年間のコストを考えてみます。

まず、今のご時世、アフリカ系留学生がいなければ目立つことはできないので、留学生を連れてきましょう。
asahi.comの記事(http://bit.ly/zfwK6)によれば、選手一人あたりの「顧問料」が150万円とのこと。代理人フィーはもっとかかりそうな気もしますが、仮に一人150万円として、二人は選手を獲得しましょう。
【留学生獲得資金】150万円×2人=300万円

留学生を獲得したからには、彼らの生活費も支援してあげなければなりません。宿舎は寮に住んでもらうとしても、月に15万円ほどの生活費が必要でしょう(母国への仕送りも含めて)。
【留学生生活支援金】15万円×12ヶ月×2人=360万円

強い駅伝チームをつくるには、優秀な監督やコーチが必要です。2人をプロとして雇いましょう。
【指導者雇用費】400万円×2人=800万円

部を運営していくためには、日頃の練習にかかるいろいろなお金が必要です。

グランドは大学の既存施設を使えるとしても、遠征、合宿その他もろもろ。社会人の運動部が数千万円の運営費といわれているので、ここでは低めに見積もってみます。
【部活運営費(遠征費、合宿費】100万円×12ヶ月=1,200万円

新聞よりも駅伝!

ここまでのお金を合計すると、
300+360+800+1,200=2,660万円(年間)


新聞の全面広告1回分、テレビの15秒CMなら10回分程度です。
テレビCM10回されるよりは、駅伝で独走区間が一つあった方が効率が良さそうです。


ちなみに先日の出雲駅伝の視聴率は9.2%とのこと。ふたたび第一工業大学を例に考えると、22分30秒にわたって、数百万人の方が学校の名前を目にしつづけた計算になります。


「これは自分にゃ関係ないな」
と、めくり飛ばされる新聞の全面広告に比べれば、なんと宣伝効果のあることか!

ほかの競技じゃダメなの?

ただし、これを以て「大学スポーツは広告効果抜群」と思うのは早計です。

二桁近い視聴率のスポーツ中継で数十分、名前を呼んでもらえるのは、これが駅伝だから。大学スポーツといえば、他にはラグビーも盛んですが、こちらで視聴率が取れるのは早稲田だけ。でも、駅伝だけは、どんなにマイナーな大学でも、独走やごぼう抜きがあれば、たった一人の活躍でも全国に名前がとどろきます。

 

とっても効率的!
なぜかテレビ的にメジャーな大学駅伝に特有な奇妙な現象です。

これから少子化がさらに進み、高校生の数がもっともっと減っていった際に、全国の大学が一斉に駅伝の強化に乗り出すかもしれません。

でも、そうすると、ケニアに足の速い子がいなくなっちゃいます!


あるいは、代理店の力技で、個の力で注目を集められる団体スポーツを人気競技に仕立てあげちゃうかもしれません。

アメフトなんか、QBやRBなど花形ポジションもあるし、歴史もあるし、案外、可能性があるかもしれないけれど、駅伝よりは圧倒的に運営費がかかりそうです・・・。

こうして考えてみると、駅伝というのは上手いこと人気競技になった不思議な競技で、非常に特殊でありながらさらなるポテンシャルを秘めた広告メディア(大学限定)だと言えそうです。
まだまだ、大学間の競争が激しくなる可能性がありそうですね。

 

※文中の数字は、ネット上の資料等から筆者が個人的に推察した数字であって、どこか特定の団体の予算ではありません。

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コメント: 1
  • #1

    Milo (日曜日, 22 7月 2012 23:01)

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