スポーツ振興予算に思うこと

「スパコン開発費」が大きなきっかけとなって、

科学者、研究者の皆さんが反対の声を高らかにあげている

行政刷新会議の事業仕分け。

当然、スポーツ振興の予算にも、仕分け人の刃が向けられました。

結論はもちろん「予算縮減」。
で、これまた予定調和な雰囲気で、

各スポーツ団体、関係者は非難の声を上げています。

五輪強化費縮減、スポーツ界から反論の声(朝日新聞)

事業仕分けで選手強化費削減…JOCから異論相次ぐ(報知新聞)


でも、どうなんでしょう。
「予算減らすぞ!」と脅された途端に、青筋立てて

「スポーツも聖域じゃないということか」(竹田JOC会長)というのは。

何を今さら・・・という感がしなくもありません。

素晴らしいスポーツ大国になってるはずなのに...

文科省は、日本のスポーツを振興すべく2000年に

「スポーツ振興基本計画」を策定しています。

http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/plan/06031014.htm

基本骨子は以下の3つ。
・子どもの体力向上
・地域のスポーツ環境整備
・オリンピック等での競争力向上

子どもが元気に体を動かし、

地域では総合スポーツクラブで世代を超えた交流が。

そしてオリンピックでは日本代表選手が大活躍!!
なんていう素晴らしい未来。なんていうスポーツ大国。

でも実態はそこに遠く及ばない現実。

子どもの体力低下は未だに嘆かれ、昨年の北京オリンピックでは大苦戦。

そして、皆さんのまわりに

「地域スポーツクラブに行ってるよ」という人、います?


予算はもらっていたはずなのに・・・。

普及と強化の両立のためには

そもそも国のスポーツを活発にするには、

「普及」と「強化」が両輪になっていなけりゃ、始まりません。


上の例でいえば、1,2で「普及」、3で「強化」ですね。

で、1は学校が舞台、2は町が舞台。学校が舞台になれば、

学校を担当する役所(部署)との連携がいるだろうし、

町が舞台になれば、学校を活用するのか、公園を活用するのか、

新規で施設をつくるのか。

健康増進をうたったイベントをうつのか、

地域のレクリエーションを大切にするのか・・。

 

行政の詳しいことはわかりませんが、国交省や地方自治体、

厚生労働省との連携は不可欠だということは想像に難くありません。

さらに「普及」がしっかりしたところで、それが「強化」とどうつながるのか。

逆に見れば、「強化」にお金を費やしたところで、

それが「普及」にどうつながるのか、どうつなげるのか。


偉い人たちには絵図があるのかもしれませんが、

それが私たち市民には一向に見えてこない。

メダルを取ってみたものの

各地方の体協や競技団体は、

声の大きな役人や顔のデカイ政治家ばかりを頼りにして、

「金がない、外国に比べ強化資金に恵まれてない」と

ひな鳥のように鳴くばかり。

 

地域や競技団体からも、日本のスポーツをどうしたいのかという絵図は、

ほとんど国民には示されていません。

それじゃ、親鳥がこければ、ひな鳥も飢えちゃうよね。


そういえば、一つのビジョンと言える「百年構想」を示しているJFAは、

日本スポーツの象徴とも言うべき岸記念体育館をいち早く飛び出してますね。

この辺は単なる偶然じゃないような気がします。

まったくビジョンを示せない中で、

2000年に打ち立てた上記の基本計画の成果も不透明。

 

仕分け会議の中では北京で銀メダルを取った太田雄貴選手を例に出し、

支援を続ければマイナーなスポーツも成果を上げられるという意見もありましたが、

ならば太田選手が銀メダルを取ると、私たちの生活に何の影響があるというのか。

フェンシングの強化は、女子レスリングの強化は、どのぐらい

私たち市民のスポーツ普及に貢献しているのでしょうか。

 

オリンピックジャンキーで、スポーツが大好きな僕でさえ

その答えが分からないのだから、日本中のほとんどの納税者は、

「それで?」という気持ちではないでしょうか。

なんでこの国にスポーツがいるの?

研究予算削減の方向性をつきつけられた研究者の皆さんは、

ノーベル賞受賞者から一科学者のブログに到るまで、

各方面から一斉に反対の狼煙を上げました。
その声はみな、冷静かつ論理的で、

日本のあらゆる研究活動がなぜこの国に必要なのかを説いています。

【 2009年11月25日 総合9大学長学術予算削減に反対声明 】
http://scienceportal.jp/news/daily/0911/0911251.html

では、日本のスポーツ界は、同じように

「なぜ、この国にスポーツ振興が不可欠なのか」

を、冷静に筋道立てて説明することができるでしょうか。

僕はスポーツが大好きです。

かつてこのブログでも、理想は

テニスをしたいと思ったときにテニスができる国だ」と書きました。


そんな(僕が思う)素敵な国を実現するためには、

今の縦割り行政、体協の旧態依然とした保守的な体質など、

変えなければならないことが山積しています。

縦割りを解消するためにスポーツ庁が必要ならば、その設立に向けての道筋を。
スポーツ振興法の改正が必要ならば、

その改正に向けて本腰を(懸命に努力はされている議員さんはいますが...)。

スポーツで素敵な国を

スポーツは絶対にこの国に必要です。


「勝利」という目的のために、参加者の気持ちを結うことのできるスポーツは、

参加者を通じて、この国を明るくするエネルギーを生み出します。


そのためには、メダルを獲得するようなトップアスリートを多く生みだし、

彼らがリタイア後に地域住民と盛んにふれあえる場所が必要です。


廃校になった学校を利用したり、公園の改修も必要です。
指導者の育成も重要な課題です。

けれど今のエサを待つひな鳥のような状態のままで、

スポーツ振興予算を確保することには、僕は反対します。
削減されても仕方ないでしょう。

このピンチにもう一回、この国のスポーツのために、この国のために、

スポーツ界はどうすべきかを、

関係各所にはプライドや利害を取り払って話し合っていただきたいものです。

 

ぜひ、スポーツを通じて、素敵な国をつくっていきましょう。

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コメント: 1
  • #1

    Walter (日曜日, 22 7月 2012 02:01)

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