一家に一台と一人に一台の値段

文章を書く際に気をつけていることがあります。それはなるべく同じ言葉を繰り返して使わないようにということ。たとえば

「AAスーパーでは割引販売を行っており、来店客はその割引率に驚きながら...」

ではなく、

「AAスーパーでは割引販売を行っており、来店客はその販売価格に驚きながら...」

というような感じ。異なる表現を用いて文章の平板化を避けることで、少しでも読みやすい文章になるように心がけています。

 

そんな際に役に立ちそうな道具が「類語辞典」。あったら便利かなぁと思いつつ、これまであえて買うということはありませんでしたが、ここに来てちょっと気になる商品が。三省堂の出したiPhoneアプリ『三省堂 類語新辞典』です。

 

ニュースサイトのレビューを読むと検索性が高いようで、「表現力をつける魔法の杖になってくれるんじゃないか」なんて淡い期待も抱いてしまいます。もちろん、そんな魔法はないことは分かってるんですけど、技量の乏しい者は魔法にでも頼りたくなるのが常というもので...。

たた、ちょっと気になる点が一つ。それは、iPhoneアプリだということです。

 

アプリだからこそ、僕は欲しいなと感じたわけで、検索性が高いし、どこへでも持ち運べるし、履歴が残ったり、語句比較ができたりと機能はとても充実しています。でも、一人でしか使えませんよね。二人暮らしの我が家で二人で使おうと思ったら、iPhoneを貸し借りするか、2つ買わなくちゃいけない。う〜〜ん、せこい話ですが気になるところです。

 

これまで「一家に一台」なものってたくさんありました。テレビはもちろん、百科事典とか画集とか、電気ポットとか急須(ティーポット)とか。電話もそうですし、まあ、他にもいろいろ。でも、今はそういうものがどんどん家族内でも個人所有になっている気がします。良いとか悪いとかじゃなくて、所有の形態が大家族から核家族に移り、そこから今は個人へとさらにシフトしています。

 

そんな変化の時代にあって、物の価格設定というのは変わらないんでしょうか。一家に一台なら1万円だったものが、一人に一台なら5千円とか。類語辞典が紙だったらわざわざ二冊買う家はないと思うんですよ。割引販売じゃないけれど、消費の仕方が変わっている時代に、販売はどう変わるのかななんてことが気になってしまいました。