今日の高校サッカー決勝でお正月のスポーツラッシュもひと段落でしょうか。
と思いきや、まだサッカーのアジアカップが続くので、スポーツが苦手な人にはもうちょっとうるさい季節が続くかも...。
で、うるさいといえばテレビのスポーツ中継ですけれど、お正月から今日までテレビ画面を眺めていて感じたことをいくつか残しておきたいなと思います。
●物語
みんな物語がそこにあれば、それを楽しもうと思うんですよね。
で、箱根駅伝はもう、物語の宝庫なわけです。
成長、挫折、栄光、友情、勝負...
ジャンプのマンガ並に物語にあふれてる!
アナウンサーがちょこちょこ挟む言葉の数々も、物語を補強するナレーションだから、みんな気にならず、恩師の話や前日の様子も楽しく聞けちゃう。
もちろん駅伝という時間が有り余る競技特性もあるけれど、アナウンサーが語るすべての言葉は、箱根の山やシード権争い、繰り上げスタート、優勝争い、それらのためのドラマスパイスなのでウェルカムなんですね。
よく言われることですが、日テレのサッカー中継はこのスパイススタイルを用いています。でも駅伝とサッカーでは競技リズムが全然違うし、サッカーの単独試合では箱根ほどドラマイベントが盛りだくさんじゃないから、どうしても浮いちゃうんですよね。
●ルール
一方、アメフトやラグビーなんかでは、物語以前にルールが分からない!
どの選手が何をして、その背景に何があろうが、ルールが分からないから感激しようがない!
なのでNHKの実況はルール説明よりなスタイルなんですね。
スポーツ好きとしては、そろそろルール説明なんか省いたマニアな実況スタイルにしてもいいのではとも思うのですが、不特定多数の方に見てもらうことを前提としたHKではそうもいかないのでしょう。
で、「お正月一大物語」がお目当てのお茶の間の皆さんは、ルールが分からないスポーツなんて見やしないわけです。
よって学生ラグビーなんかは特に1月の風物詩なわけですが、注目度が落ちているんではないですかね。
●解説
どのスポーツ中継を見ていても「何だかなぁ」と思うのが解説陣の皆さん。
アナ「今の攻防で得点が入らなかったのは、なぜでしょうか」
解説「守備陣が非常に上手く守りきりましたね」
・・・・こんなアホみたいな会話があらゆる競技で繰り返されていました。
アナウンサーが僕らの代わりに聞いてくれてるのは、「なんで守りきれたか」という「原因」なのですが、解説者は目に入ってきた「現象」しか言葉にできない。
実はこれって、日本のスポーツ界が抱える病気と根は同じなのかなと感じています。
ことあるごとに「攻めの気持ち」「自分たちの戦い」を繰り返す選手達。きっと指導者がミーティングでそれを口にしているのだとは思いますが、そこにどれだけの具現的なイメージがあるのやら。
選手、指導者時代に身体動作や戦術を言語化できなかった人が解説者になった途端、言葉を巧みに操れるわけもなく、結局「現象」を口にするしかないわけです。
もっとも身体動作や戦術の言語化は指導者競技者のみならず、スポーツ記者やスポーツライターも非常に苦手な分野で、日本のスポーツライティングに異常にウエットな情緒的描写が多いのは、身体を言葉にすることが皆、苦手だから(と、客が物語を求めているから)だと僕は考えています。
まあ、そうは言っても出不精な僕としては、こうしてテレビでスポーツ中継をしていただけるのは、本当にありがたいことなのです。うるさい実況は音を消しちゃえばいいしね。
でも、スポーツを言葉にできない時代がいつまでも続くと、この国にスポーツはいらなくなっちゃうぞとも思ってしまうわけで。
民主党のスポーツ議連の皆さんがスポーツ省設立に力を入れていくみたいですけれど...
役所ができてみんなが豊かにスポーツ観を抱けるといいですね(棒
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