2011年

4月

24日

希望の地としてのスタジアム

たかだかサッカー。他人がボールを蹴って走り回ってるのを見て何が楽しいのか。大のおとなが大勢集まって、わーきゃー歓声上げて、何をやっているのか。

 

サッカーを知らなければ、そんな風に思うのは無理からぬことです。たしかに自分でボールを蹴るわけでもなければ、ゴールを決めても試合に勝っても、僕らの懐が潤うこともありません。

 

でも、もしそんな風に思う人がいたって、僕らはスタジアムへ足を運びます。スタジアムには、日常では味わうことの少ない歓喜や驚嘆や落胆(ときどき怒り)が満ち、それらをともにする仲間がいます。

 

今週末、Jリーグが再開しました。

 

4月23日土曜日。川崎市の等々力陸上競技場へ川崎フロンターレ対ベガルタ仙台を観にいきました。試合前は川崎サポーターからベガルタ仙台コールが巻き起こるほど、スタジアムは日本のサッカーファミリーらしく激励に満ちたあたたかな雰囲気。でもいざ試合となれば、そこは勝利を求めるスポーツの世界。ピッチ上の選手もスタンドで声援を送る観衆も、熱く激しく、ただひたすらに戦うのみです。

 

川崎フロンターレ 1ー2 ベガルタ仙台

前半37分 田中 裕介(川崎)

後半28分 太田 吉彰(仙台)

後半42分 鎌田 次郎(仙台)

 

最後まで懸命にボールに食らいつきつづけた仙台の選手達が、試合終了間際に劇的な逆転ゴール。ボールへの反応の早さ、相手選手への当たりの強さ、落ちない運動量。

 

フロンターレは言うまでもなくJ屈指の強豪チームです。しかしこの日は、ベガルタの選手達の方が明らかに気持ちで相手を上回り、そして結果でも川崎を上回りました。

 

 

ベガルタ仙台のゴールが決まると、サポーター席には「オー・シャンゼリーゼ」のメロディが響きます。

 

♪オー!フォルツァ仙台!オー!フォルツァ仙台!

 ラララ!ラララ!ラララ!ラララ!ラ〜ララ〜ララララっ、ラ〜ララ〜ラ!

 

23日の等々力陸上競技場では、同点ゴール、逆転ゴール、そして試合終了後の3回。歓喜の歌声が響きわたりました。

 

サッカースタジアムには歓喜の絶叫が響くことがあれば、落胆のため息が折り重なることもあります。喜びの歌や激励のコール。90分間に感情の浮き沈みがあり、それをともにする仲間がいます。

 

ベガルタが勝ったところで、それが直接復興の一助となることはありません。でも、サッカーが感情のスポーツであれば、歓喜や激励や、もしかしたら落胆の向こう側に希望をつむぐ人が必ず生まれ出てくるはずです。4月23日の等々力陸上競技場でもきっと希望の種は生まれたに違いありません。

 

今、希望を持つことが難しい状況にある人たちの気持ちが少しでも動き、そして光がほんのちょっとでもさしたなら、どれほどまでに素晴らしいでしょうか。

 

「AUX CHAMPS ELYSEES(オー・シャンゼリゼ)」は、出会いや楽しさにあふれるシャンゼリゼ通りでの喜びをうたった歌だそうです。スタジアムにも、あの素敵な通りと同じように、希望にあふれた喜びが満ちあふれますように。